浴槽の交換工事にかかる費用は、ご自宅の浴室が、工場であらかじめ成形されたパーツを現場で組み立てる「ユニットバス」なのか、壁や床をタイルなどで仕上げる昔ながらの「在来工法」なのかによって、その内容と金額が大きく異なります。まず、「ユニットバス」の場合、浴槽はシステムの一部として設計されているため、原則として浴槽だけの交換はメーカーが推奨していないケースが多いです。しかし、一部のメーカーや製品では浴槽単体での交換が可能な場合もあり、その際の工事費は比較的安価で、5万円から15万円程度が目安となります。ただし、適合する浴槽が限定される、あるいは交換自体が不可能で、結果的に浴室全体のリフォームが必要になる可能性も考慮しておく必要があります。一方、「在来工法」の浴室は、浴槽の設置方法によって工事の難易度が変わります。床の上にただ置くだけの「据え置き型」の浴槽であれば、給排水管の接続と浴槽の固定だけで済むため、工事は比較的シンプルです。この場合の工事費は5万円から10万円程度が相場です。問題は、浴槽の一部または全体が壁や床に埋め込まれている「埋め込み型」や「半埋め込み型」の場合です。このタイプでは、既存の浴槽を撤去するために、周囲のタイルやコンクリートを部分的に解体する「はつり工事」が必要不可欠となります。浴槽を設置した後には、解体した壁や床をモルタルで補修し、防水加工を施し、新しいタイルを張るなどの復旧作業も伴います。そのため、工事は大掛かりになり、費用も15万円から25万円以上かかることが一般的です。このように、浴室の構造と浴槽の設置方法が、工事費を決定づける大きな要因となるため、見積もりを取る際には、自宅の浴室がどのタイプに該当するのかを業者に正確に伝えることが重要です。