水道局の検針員として二十年以上、毎日何百軒もの一軒家を訪問してきましたが、現場で最も苦労するのは「水道メーターがどこにあるのか一目で分からない家」に遭遇したときです。多くの方にとって、水道メーターは検針のときだけ必要なものと思われがちですが、私たち検針員の視点から見ると、それは住人の皆さんの安全と家計を守るための重要なセンサーでもあります。一軒家の庭が美しく手入れされているのは素晴らしいことですが、メーターボックスの蓋の上に立派な松の木の枝が張り出していたり、重い石灯籠が置かれていたりすると、検針作業は困難を極めます。ひどい場合には、新しく設置した物置が完全にメーターボックスを覆ってしまっている一軒家もあり、そうなると私たちは正確な数値を読み取ることができず、推定での請求を出さざるを得なくなります。これは住人の方にとっても、実際の使用量と請求額が乖離するというデメリットに繋がります。一軒家に住む皆さんにぜひ知っておいていただきたいのは、水道メーターは「検針員が最短時間でアクセスできる場所」にあるべきだということです。理想的なのは、道路から敷地に入ってすぐの、障害物がない場所です。また、最近増えているトラブルとして、防犯砂利を庭全体に敷き詰めた結果、メーターボックスの蓋が砂利に埋もれて消えてしまうというケースがあります。砂利を敷く際は、ボックスの周りだけを一段高くするか、蓋の色が見えるように囲いを作るなどの工夫をしていただけると非常に助かります。メーターの場所を把握していない一軒家の主婦の方から「漏水しているみたいなんだけどメーターはどこ?」と泣きつかれることも少なくありません。私たちが不在のときにトラブルが起きたら、水は止まりません。一軒家の水道メーターは、私たちが検針するためだけにあるのではなく、皆さんが緊急時に家を守るための「ブレーキ」でもあるのです。時々で構いませんので、庭の隅にあるあの青い蓋を開けて、中の数字が動いていないか、土が溜まっていないかを確認してみてください。その一分程度の習慣が、将来の大きな水トラブルを防ぐことに直結します。一軒家というプライベートな空間にお邪魔して作業をする私たちにとっても、メーターが分かりやすい場所にあることは、迅速かつ正確なサービスを提供する上での大きな支えとなります。皆さんの住まいのインフラを支えるパートナーとして、ぜひメーターボックスの場所を今一度確認し、その周囲を風通しの良い状態に保っていただければ幸いです。